2019年11月、ニューヨーク
ひたすら真っすぐな道と超高層ビル群
幾度となく写真で眺めていたあの場所にぼくはいた
染織の仕事を再開したことで目標に掲げた、個展をするためのギャラリーを探すこと
車いすユーザーとして単身でなるべく遠い場所へ行くこと
この2つに挑戦するためにアートの中心地と言われているニューヨークを選んだ
そしてもう一つ
日々の生活の中で、常に頭の片隅にあるモヤモヤ
迷走して動き出せない自分が嫌で、変わりたくて、それが「何か」を漠然と探していた
28日間の一人旅
初日から滞在したハーレムの宿以外はすべて現地で気の向くままに決めた
ハーレムから59丁目に行くため、セントラルパークの外周を毎日往復した
慣れない道はとてもきつかった
筋肉痛になった
手に豆ができた
正直辛かった
それでも、視界に入り込んでくる街の光景と
成長したいという思いが後押ししてくれた
とにかく走った
強い意志を持ち訪れた、憧れの場所をより体感したかったのだ
できるだけ公共交通機関を使わずに車いすを漕いだ
見知らぬ土地での頼りはfree wi-fi スポットと拙い英語、何とかなるという気持ちだけ
それが良かった
フラットアイアンビルに出会したり
走りづらそうな道を避けて進むとブロードウェイがあり
タイムズスクエアに行き着いた
歌を口ずさみながらスラロームして軽快に下った坂の先が行き止まりで
後悔しながら引き返すこともあった
宿に戻ろうと彷徨ったチャイナタウンとソーホーの街
エンパイアステイトビルやロックフェラーセンターも走りながら見つけた
ブルックリンブリッジを渡ろうとした夕暮れ時
夕日を眺めた方向に小さな自由の女神が見えた
感動して涙が出た
久しぶりに海を見た
ウィリアムズバーグブリッジの長い上り坂を
自転車やランニングをしている人たちが行き交う
大丈夫かと度々声をかけられては
「I'm training!」と答えた
一生懸命漕いだ
何度も後ろを振り返り、進んでいることを確認した
ひと休みするために止まった足元に、スプレー缶で書かれていた文字
「DON'T STOP」
ニューヨークの街が教えてくれた
そして
2年後、またこの地を訪れることになる
